NPO丹波まちづくりプロジェクト

理事長挨拶

信頼のネットワークの拡大と継続

 2013年総会で選出されて2代目理事長に就任しました。何分宜しくお願いします。

 昨年の年末近くに当時の理事長であった赤井俊子氏から相談事があると連絡をいただいた。三宮でお目にかかると、『予てより未杜のメンバーには折りにふれて伝えてあったが、10年間理事長を務めてきたので退くことにした。後任には未杜の主要メンバーにお願いしたいと考えていろいろ当たったが、念頭においていた候補者の方々が皆さんそれぞれの事情がありお願いできなかった。ついては、このような状況を斟酌して後任を引き受けていただきたい。』との申し出を受けた。

 全く予期しない突然のお話で驚かざるを得なかった。「未杜」は兵庫県下はもとより全国的に見ても突出して活発な活動を行っていると高い評価を受けている地域通貨である。これは赤井さんを初めとする中心メンバーの実践的な課題の発見とその解決に向けた精力的な取組みと、それに対するメンバーから寄せられた10年間の信頼によって積み重ねてこられた成果である。このような状況下で、私は総会などに参加する機会はあったが、とても「未杜」の全貌を十分理解しているとはいえない。

 赤井さんも試みられたように、中心メンバーから後継者を選出することが望ましい。私が諸般の事情から「未杜」を継続するのに理事長を引き受けるとしても、長期的な理事長を模索する過程の暫定的な措置ということになろう。赤井さんの負担を多少なりとも軽減できるように努めるとしても、これまでの中心的に活動をされてきたメンバーに今後も多方面で関わっていただかなければ、これまでの貴重な経験を活かせないであろう。幸い新しい「未杜」に向けて協力を申し出ていただいている方達もあるが、赤井理事長が退任の理由の一つとして挙げられた活動の更なる活性化は「未杜」の発祥の地である丹波での活動の経験を前提として展開を図ることが求められている。 赤井さんから意見を求められた時には、創設者たちが掲げた趣旨を損なわず、活動を活性化することを目指して、海外の関連文献を参考にして「未杜」は不測の状況に十分に対応できるような形態を維持するように勧めてきた。しかし、地域通貨は最近では補完通貨と呼ばれる限定された領域で有効な法貨ではない貨幣の一部に組み込まれてきている。つまり、従来ではとても「貨幣」とは見做されなかったものでも「貨幣」と呼ぶのに抵抗がなくなってきている状況にある。

 このような変化に沿って、「未杜」の運営にも柔軟性を加味することも検討する価値があろう。それによって、設立当初に考えられていた「豊かな地域」を目指すことはもとより、社会・経済の環境変化による急激に変化する健全な地域社会の構築を実現するように、多様な衆知を集めて「未杜」がさらに飛躍するような運営を模索する途を拡大したい。そこでは地域の財源逼迫や消費税の増税に対応する策などを地域の人びとが検討するのを促進するツールとして「未杜」が活用されるであろう。さらに人びとの活動の場を丹波に限定せずに、阪神、淡路など兵庫県下の諸地域とネットワークを組み、多彩な人材を呼び込んで、これまでにない多様な地域との有機的な連携も図りたいと思っている。それに向けた活動にはメンバー諸氏のさらなる積極的な参画が不可欠であり、毎月の事務局会議、井戸端会議への参画やご支援さらに忌憚の無いご意見を事務局に寄せていただきたい。

kaichou

平成25年3月
NPO法人丹波まちづくりプロジェクト
  理事長  小西康生